2023年11月11日(土曜日)

遺品整理はどの時期にする?適切なタイミングについてをプロが解説

遺品整理はどの時期にする?適切なタイミングについてをプロが解説



遺品整理を始めるのに最適な時期というものは存在するのでしょうか?

実際、多くの人にとっては未知の領域とも言えますよね。

どのタイミングで始めるのかを知っておくと、いざという時に心構えとして役に立つはずです。


この記事では、遺品整理のプロが整理を始める時期についてを解説していきます。



遺品整理の時期は何が関係している?


遺品整理の時期は何が関係している?

遺品整理を始める最適な時期は、故人の宗教的・文化的背景にも深く関係しています。

世界には多様な宗教と文化が存在し、遺品を整理する独自の慣習や儀式がありますね。

私たち遺品整理士から見ても、これらの宗教的・文化的な側面を尊重することが、適切な時期を見極めて行うために重要だと考えています。

では、宗教・文化それぞれの視点から見た遺品整理のタイミング(時期)について解説していきます。


仏教の伝統に基づく遺品整理




四十九日法要の重要性

仏教では、故人の死後四十九日間を重要な期間と考えられています。

この間は遺品整理を控えることが一般的でしょう。


故人が亡くなった日を1日目として、そこから数えて49日という考え方です。

葬儀や法要時には遺族・親族が集まりやすいため、どのように遺品整理を進めていくのかを話し合う方が多いですね。

この四十九日から少し落ち着いた時期に遺品整理を始めることが、故人への敬意を示す方法とされています。


神道における遺品整理




忌明けの期間


神道では、故人の死後一定期間を忌み期間として考えられています。

この間は日常の変化を避けることが望ましいでしょう。


神道での忌中(喪に服す期間)は、故人が亡くなってから50日間となっています。


神棚封じの期間を終えるまでは忌中として扱われます。

※地域によってはそれぞれ期間が異なる場合があるため、詳しい期間については確認が必要でしょう。


忌明けを迎えると遺品整理を始めることが適切とされ、故人を偲ぶための最適な時期となります。


キリスト教文化における遺品整理




キリスト教の習慣


キリスト教の伝統では、故人の死後すぐに遺品整理を行うのに決まった時期はありません。

亡くなった方はすぐに神様の元へ行くと考えられているので、死を悼む期間(喪中)がないのです。

しかし、故人の遺志や家族の合意に基づくタイミングが尊重されています。


日本では風習として、喪中や忌中の考え方が受け入れられるケースもありますので、故人や家族の意思で期間を決定することも可能でしょう。




  文化的多様性の尊重 


現代の日本社会は多様な文化的背景を持つ家族が増えており、それぞれの習慣に合わせることが重要です。


各家庭の背景を理解し、それに沿った方法や時期に遺品整理を行うことが、故人への敬意を示すことにつながるでしょう。



遺品整理と相続の関係性とは


相続手続きと遺品整理:タイミングの同期

遺品整理を行う際には、相続とのタイミングを考慮することも非常に重要です。

特に相続税の申告や遺産分割に関連しており、実は遺品整理と法律は密接に結びついているのです。

この項目では、相続手続きと遺品整理のタイミングとそのポイントの詳細についてご説明します。

  遺品整理と相続手続き  



故人の遺品はすべて”相続財産”となるため、相続人にとって遺品整理は切っても切り離せない問題でしょう。

財産となる遺品の評価(価値)は、相続税の申告に影響してきます

したがって、遺品整理作業では遺品(有価物など)の選別とその評価を行っておく必要があるのです。


相続手続きに必要な書類や情報を集めるため、遺品整理を行う際には以下の内容に注目してみましょう。

・どの品がどれぐらいあるのか
・保管されている場所はどこなのか


特に金銭的な価値がありそうな品は、買取業者に査定してもらいその評価額を調べておくことがおすすめです。

また、相続手続きに必要なものには、例えば故人の通帳や不動産の書類なども含まれますね。

こういった財産(遺品)の情報は遺産分割協議を行う際に役立ちます。

故人の財産に関することはすべて、メモを取るなど把握しておくようにしましょう。




相続の手続きに関する内容は、下記の記事にて詳しくご紹介しております。

良ければ参考になさってくださいね。

関連記事
故人の死後に必要な手続きや遺品整理が必要な理由とは?相続や故人の遺品整理との深い関係性についても解説

【相続放棄と遺品整理】知っておくべきポイントと遺品整理と相続放棄の関係についての注意点を解説


  遺品整理の進め方  


 スケジュールを決めて計画的に進めていく

相続手続きの期限を考慮しながら、遺品整理を計画的に進めることが大切です。

これには、家族や相続人との十分なコミュニケーションが取れているかどうか

そのあたりも非常に重要になってきます。


まずは、故人の遺品整理をいつから・いつまでに終えるのかを決めていきましょう。

スケジュールを組んでいく際には、以下のような点を考慮してみてください。


遺品整理に参加する人数
故人宅の間取り(広さ)
家財の量はどれぐらいあるのか
自分たちでどの範囲までできそうなのか

法要時や法要後に家族・親族で話し合いの場を設けておくと、よりスムーズに進めていくことができるでしょう。

故人宅が持ち家ならば作業終了日までの猶予が長いかと思いますので、焦らずゆっくり進めていってくださいね。


遺品整理のより具体的な進め方については、下記の記事を参考になさってください。

関連記事:親が亡くなった後の遺品整理は何から始めればいい?|親の遺品整理でおすすめの進め方や注意するポイントを紹介!




専門家との協力

相続手続きには複雑な法的側面があるため、税理士や弁護士などの専門家と協力することも考慮しておきましょう。

専門家の協力によって、遺品整理と相続手続きをスムーズに進行させることができます。


また、計画的に進めることで、遺族間のトラブルを避けることにも繋がるでしょう。


次の項目では、緊急性のある遺品整理とその進め方に焦点を当てて解説します。


遺品整理で緊急対処が必要な場面


緊急で対処が必要な遺品整理

遺品整理は、時に迅速に行わなければならないケースもあります。

特に緊急性のあるケースとしては、下記のような場合です。

・故人が賃貸物件に住んでいた場合の遺品整理
・孤独死など特殊清掃が必要な場合の遺品整理


賃貸契約の性質上、故人の死後、物件の管理会社や家主との間でさまざまな手続きを迅速に進めることが求められることがあります。

そして孤独死の場合は、それ以上に緊急性が高い場面だとお考えください。


この項目では、緊急性のある遺品整理と速やかな行動の重要性について解説します。

  賃貸物件における遺品整理の場合  




賃貸物件の場合、故人がお亡くなりになった時点で契約が終了します。

退去の期限は契約によって異なりますが、通常は故人の死後すぐに退去の手続きを開始する必要があります。


とはいえ、身近な方がお亡くなりになったすぐ後では、動揺してしまいどうすれば良いか分からなくなると思います。

そんな時はまず、故人のお葬式が終わった後など少し気持ちが落ち着いたときにでも、管理会社へ相談してみましょう。

事情を説明すれば、急いで退去を求められることはないでしょう。



しかし、管理会社や不動産会社から見ると、故人が亡くなったことにより物件を空ける必要があることも事実。

そのため、いつまでに退去できればいいのかを確認しておきましょう。

管理会社やオーナーとの話し合うことで、決められた期日までに退去できるように準備を進めることができます。


また、遺品整理に参加できる人数が少なかったり、退去日が迫っている場合は業者に依頼することも検討しておきましょう。

遺品整理は精神的な面だけではなく、体力面でも負担がかかる作業です。

自分たちで行うことが難しいと感じたら、まずは早めに業者へ連絡して見積りを取ってもらってくださいね。


  特殊清掃が必要な遺品整理の場合  



故人が室内でお亡くなりになっていた場合、特殊清掃が必要なケースであれば早急な対応を求められます。

この場合は持ち家でも賃貸物件でも、どちらであっても緊急性が高い作業です。

賃貸物件であれば、退去時に原状回復を行ってからでなければ退去することはできません。


なので、孤独死などの清掃や消臭が必要なケースでは、まずは特殊清掃業者へ連絡して対応してもらいましょう。

業者の作業後であれば遺族も遺品整理を行うことができます。

室内の環境を改善した後に、故人の遺品を仕分けして遺品整理しましょう。

ただし、特殊清掃が必要な遺品整理の場合、いくつか注意しなければならない点があります。


特殊清掃の注意点ついて知りたい方は、下記の記事をぜひご覧ください。

関連記事
孤独死現場の原状回復って誰が費用を支払うの?

孤独死した故人の遺品整理はどうしたらいい?特殊清掃の流れと事例紹介

孤独死の特殊清掃ではいくらかかる?|孤独死現場における特殊清掃費用の相場や作業内容について解説

 

遺品整理は業者に依頼するべき?


知識を活かす:自己実施と専門業者の選択

遺品整理は作業を始める時期だけでなく、個人で行うか専門業者に依頼するか、そのどちらかを
選択することになります。

ここでは、自分でやるケースと業者に依頼するケースのメリット・デメリットをご紹介していきます。


  自分でやるメリットとデメリット  



メリット

・費用の節約
・故人を偲びながら遺品整理ができる



自分で遺品整理をするの最大のメリットは、費用の節約と故人への供養ができるところです。

故人との思い出をじっくり振り返りながら整理できるため、気持ちに区切りを付けられやすくなります。



デメリット

・時間または労力がかかる
・大きな家具や家電の運び出しが困難
・スケジュールや人数の調整が必要
・感情的につらい作業となり不安定になりやすい



時間と労力がかかる点がデメリットです。

遺品の量が多かったり清掃が必要な場合、個人での整理が困難になるでしょう。

また、残しておくものは形見分けとして他の家族や遺族に分配する必要があります。

遺品の仕分けを進んでいくと、残しておくもの以外に不用品も出てくるものです。

不用品を処分するためには、自治体の回収サービスを利用したり、指定の場所へと運ぶ必要があります。


それらの処分を自分たちで行わわなければいけないという手間も、大きなデメリットだと言えるでしょう。

遺品整理に参加できる人数が多ければ問題はありませんが、時間や労力の面を考えるとやはり業者に依頼するのがおすすめです。



個人で行う遺品整理について抑えておくべきポイントは、下記の記事をご参考ください。

関連記事
自分で遺品整理を始める前に知っておきたいこと9選|これから遺品整理を自分で進めようと考えている方必見!


  専門業者を利用するメリットとデメリット  



メリット

・作業時間の短縮
・適切に遺品を取り扱ってくれる
・遺品(故人)との距離が保たれる
・精神的負担が軽減される


専門業者に依頼することで、作業の効率が大幅に向上します。

業者は遺品整理に関する専門的な知識と経験を有しているため、適切な方法で遺品整理が行えるところが一番のメリットです。

また、業者が間に入ることによって、故人の遺品に対する感情的な距離を保つことができます。

これにより、遺族の感情的な負担を軽減し、客観的な判断がしやすくなるでしょう



デメリット

・費用が掛かる
・自分でゆっくり遺品を選別できない


業者に依頼するデメリットは、やはり費用が掛かってしまう事ではないでしょうか。

お部屋の広さや遺品の量によっても料金が変動してくる為、ある程度の相場を把握しておく必要があります。


業者の費用・相場については、下記の記事をご参考ください。

関連記事
遺品整理の費用・相場を知ろう!業者の料金相場と遺品整理にかかる費用を抑えるポイント紹介

遺品整理の費用っていくらかかった?遺品整理の費用についてのみんなの疑問をまとめて解説


  業者選定のポイント  



《 信頼性と経験 》

遺品整理業者を選ぶ際には、その業者の信頼性と経験を重視することが重要です。

業者の情報を知るには、以下の方法がおすすめです。

・身近に業者へ作業を依頼した経験のある方いれば感想を聞いてみる

・業者のHPを見て作業内容や実績を確認してみる
・口コミなどの評判を確認してみる

口コミや評判、事例の確認を通じて適切な業者を選びましょう。



《 サービス内容と料金 》

提供されるサービスの範囲料金体系追加料金の有無などを確認し、自分たちのニーズに合った業者を選ぶことが大切です。

料金が安いからといって、良いサービスが受けられるとは限りません。

業者の中には、事前に報告されていない追加料金や高額請求を行うなど、悪質な手口を行う業者も存在します。

業者が提示した見積書を確認しながら、どのサービスが必要でどのサービスが不要なのかを見極めていきましょう。



信頼できる業者の選び方については、こちらの記事に詳しくご紹介しております。

良ければ参考になさってくださいね。



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資格の有無でサービスの質が変わるって本当?!依頼する際に使える遺品整理業者選びのコツ紹介!

遺品整理を自己実施するか、専門業者に依頼するかは、個々の状況とニーズにより異なります。

どちらの方法を選択するにしても、故人の遺志を尊重し、家族の意向を考慮しながら進めることが重要ですね




遺品整理におけるトラブルの回避策


知識を武器に:遺品整理におけるトラブル回避策

遺品整理は、時として予期せぬトラブルや誤解を引き起こす可能性があります。

適切な知識と計画を持って進めることで、これらの問題を効果的に回避することができます。

遺品整理を専門におこなっている業者から見た、遺品整理における一般的なトラブルとその回避策について、実用的なアドバイスをご紹介します。


  遺品整理における一般的なトラブル  

・家族間の意見の相違

故人の遺品に関する意見の相違は、遺族間のトラブルの一般的な原因です。

故人の意志が明確でない場合、どの遺品をどのように扱うかについて家族間で意見が分かれることがあります。


・貴重品の取り扱い

故人の貴重品や金銭的価値のあるアイテムに関する扱いは、トラブルの原因となりやすいです。


これら価値のある遺品の分配については、特に慎重な対応が必要です。



  トラブルを回避するにはどうすればいい?

・事前のコミュニケーション

家族や相続人間で事前に遺品に関する話し合いを持つことが重要です。

故人の意向についての理解を深め、家族間での合意を形成しましょう。


・文書による合意形成

可能であれば、遺品に関する家族間の合意を文書化し、全員の署名を得ることで、後の誤解を防ぎます。


  専門家の活用  

・法的アドバイスの利用

相続に関する法的な問題が予想される場合は、弁護士や専門家のアドバイスを求めることを検討しましょう。


これにより、法的なトラブルを未然に防ぐことができます。


・中立的な第三者の導入

感情的な問題が予想される場合、中立的な第三者を仲介者として導入することも有効です。


これにより、客観的かつ公平な視点で遺品の取り扱いを決定できます。


遺品整理において起こりうるトラブルと対処法については、こちらの記事をご参考ください。

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遺品整理中に現金が見つかったら?トラブル対策とよくある隠し場所について解説

遺品整理に関わるトラブルを避けるためには、事前の準備と適切なコミュニケーションが不可欠。

知識と計画をもって進めることで、遺品整理をスムーズに行い、故人への敬意を保ちつつ、遺族間の和解と平和を保つことが可能です。

総じて言えることは、遺品整理は故人との最後の関わりとして、丁寧に進めるべき重要な作業なのです。


まとめ:遺品整理は落ち着いた時期に


まとめ:適切な時期を見極めてから遺品整理を始めよう

このコラムでは、遺品整理をどの時期に始めるべきか悩んでいる人向けに、様々な側面からの洞察と具体的なアドバイスをご紹介しました。

以下の表に重要なポイントをまとめました。

故人との関係性の尊重故人との関係を振り返り、その思い出を大切にしながら遺品整理を進めることが重要です。
宗教的、文化的背景故人の宗教的、文化的背景を理解し、それに合わせた遺品整理のタイミングを選ぶことが重要です。
法要の終了と遺品整理の始まり法要の終了は、遺品整理を始める自然なタイミングとなることが多いです。
相続手続きとの同期相続手続きと遺品整理のタイミングを同期させ、法的要件を満たすことが重要です。
緊急性のある遺品整理賃貸物件では、契約上の要件に基づいて迅速な遺品整理が必要です。
個人実施と専門業者の選択遺品整理を自分たちで実施するか、専門業者に依頼するかは、各家族の状況によります。
心理的負担の理解遺品整理に伴う心理的負担を理解し、適切に対処することが重要です。
トラブルの回避遺品整理に伴うトラブルを回避するためには、事前のコミュニケーションと計画が不可欠です。

遺品整理は、故人への敬意を表し、遺族が新たな一歩を踏み出すための作業です。

その為の一つの知識として、本記事が参考になれば幸いです。


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