2024年7月18日(木曜日)

孤独死が発生した室内に残る家財の処分は誰がする?特殊清掃や相続との関係や費用負担者について解説

孤独死が発生した室内に残る家財の処分は誰がする?特殊清掃や相続との関係や費用負担者について解説


故人が孤独死してしまった場合、孤独死後は特殊清掃や遺品整理が必要になりますが、いったい誰が費用を支払うべきなのでしょうか?

そこで本記事では、孤独死後の遺品整理(家財整理)と特殊清掃の費用負担者と、相続との深い関係性についてを解説していきます。


孤独死後の家財整理(遺品整理)は誰が行うのか


孤独死後の家財整理(遺品整理)は誰が行うのか


孤独死が発生した場合、そのあとには必ず誰かがお部屋の片付けをしなければなりません。

しかし、そもそも孤独死が起こったお部屋の整理は誰が行うべきものなのでしょうか?

お部屋に残った家財の整理(遺品整理)を行う義務がある人や、その詳細について以下にご説明していきます

故人の遺品整理を行う義務は相続人にある



一般的に知られているのは、亡くなった故人の家族や親族、近しい友人などが遺品整理を行うことが多いです。

しかし、孤独死で亡くなった方の場合は周囲の人との関係が希薄であり、コミュニケーションが取りづらい状況であることがほとんど。

ご遺体が発見されて警察から連絡を受けるのは親族(主に血族)ですが、最終的に遺品整理を行う義務があるのは、『相続人』となります。



※親族の範囲は下記の図の通りです。

親族の範囲

孤独死した故人の遺品はすべて財産とみなされます。

故人の財産は相続人が引き継ぐものとなりますので、お部屋に残った家財に関しても相続人に権利があるということです。

逆に言えば、相続人以外の人が相続人の許可がないままに遺品整理を行うことはできません。


つまり、法的な側面から見ても、相続を行うためには孤独死現場の整理や清掃は相続人が行うべき義務である、ということになります。



相続人以外の人が遺品整理を行う方法については、下記の記事をご覧ください。

関連記事:遺品整理は相続人以外が行ってもいいの?|遺品整理作業において相続人以外が担う役割とその重要性について解説


相続人について



相続人となる人は、『法的相続人』と、『遺言書で指定されている相続人』の2種類に分かれます。


○法定相続人・・・法的に定められた相続権を持っている相続人のこと
○遺言書で指定されている相続人・・・故人が生前に遺した遺言書に指定されている相続人のこと


法的に定められた法定相続人の詳細は、下記の図をご覧ください。


法定相続人

法定相続人は以下のような順番で優先的に決定されます。

①配偶者+子もしくは孫など
②配偶者+親もしくは祖父母など
③配偶者+兄弟姉妹もしくは甥姪など


※基本的に配偶者は常に相続人となります

法定相続人となる人は、配偶者に加えて故人の直系卑属や直系尊属などの血縁者ということになりますね。
(養子の場合も血縁者に含まれる)


逆に、遺言書で指定されている相続人は、必ずしも血縁者であるとは限りません

友人など親しい間柄の人を相続人として指定されていることもあります。



この2種類の相続人の数によって、誰がどのくらい相続するのかという法定相続分の割合が算出されます。

なので故人の遺品についても、当然相続人間での話し合いが必要となってくるでしょう。

相続する人の数や相続放棄を行う人がいるかがポイントとなります。


相続放棄の注意点



遺品整理と相続は切っても切り離せない問題です。

遺品整理を行うということは、遺品の処分も行うということでもあります。


遺品の処分=故人の財産を処分


ということになりますので、故人の財産についての意思表示をしたと捉えられるのです。

故人の遺産を相続する意思があるとみなされた場合、そのあとから相続放棄をすることはできません。


少し違う視点からみてみると、財産にはプラスのものだけでなくマイナスの財産も含まれます。

マイナスの遺産には下記のようなものが挙げられます。

・借金などの負債
・未払いの家賃や公共料金
・保証債務
・買掛金

など


相続人は故人の財産をすべて引き継ぐ権利がありますので、当然のことながらマイナスの遺産も相続することになります。

マイナスの遺産がどれほどのものなのかによって、相続人の負担が大きく変わってくるでしょう。

ですので、相続を決める前には故人の財産状況をしっかりと把握しておかなければなりません


しかし故人が孤独死で亡くなっている場合、疎遠になっていた可能性が高いです。

なので、遺品整理を始める前に故人の財産状況を把握しておき、相続もしくは相続放棄を決定することをおすすめいたします。



相続方法の中には財産から負債などを差し引きして、残った財産だけを相続する『限定承認』という方法もあります。

そういった選択肢も視野に入れつつ、慎重に決めてくださいね。


相続や相続放棄についての詳しい詳細は、下記の記事にて解説しております。

良ければ参考になさってください。

関連記事:【相続放棄と遺品整理】知っておくべきポイントと遺品整理と相続放棄の関係についての注意点を解説



孤独死が発生した部屋の家財はどうなる?


孤独死が発生した部屋の家財はどうなる?


孤独死の場合、通常の遺品整理とは少し異なる側面があります。

それは遺品の保管と処分についての問題です。

実は、孤独死があったお部屋の家財の大半は処分されているのです。

なぜ保管ではなく処分を決定する人が多いのか、以下に解説していきます


  孤独死のあった部屋にある家財の特徴



孤独死があったお部屋にある家財は、感染の危険がある細菌や悪臭が付着しています


人がお亡くなりになった後、徐々にご遺体の腐敗が進んでいきます。

ご遺体の腐敗に伴って腐敗ガスが発生し、気泡のように膨らんで破裂することで血液や体液だけでなく、腐敗臭(死臭)も生じます。

発生した腐敗ガスはお部屋中ありとあらゆるところに付着しますので、室内にある家財のほとんどは臭いが染みついてしまうのです。


漏れ出た体液や血液に直接触れると感染のリスクが高まりとても危険。

なので、体液などが付着している家財をそのまま保管しておくことはできません。

また、この腐敗によって生じる腐敗臭の臭いはすさまじく、特殊清掃を行ったり消臭作業をしなければ臭いは取り除けないでしょう。



孤独死現場ではどのような状況になるのか、という内容について詳しく知りたい方は下記の記事をご覧ください。

関連記事:孤独死の影に潜む真実とは…|孤独死現場で遺体を発見したときの状況とその後や対処法について解説


  孤独死の特殊清掃や遺品整理を自力でおこなうのは難しい



孤独死の場合、先ほどもお話していた通り悪臭や感染リスクがありとても危険な状況です。

放置すればするほど状況は悪化していくでしょう。

ましてや長期に渡って発見が遅れた孤独死のお部屋であれば、早急に対処しなければなりません


もし故人が住んでいたお部屋が賃貸物件だった場合、解約する前には原状回復工事を行っておく必要があります。

しかし、感染症のリスクや清掃に関する正しい知識がなければ、適切な処置を行うことはできないでしょう。

汚れや臭いが残ったまま部屋を受け渡してしまい、お部屋の持ち主(オーナー)から損害賠償を求められたというケースも存在します。

また、近隣住民からは臭いに関しての苦情がきてしまうかもしれません。

持ち家に関しても同様です。



そうなる前に、孤独死が発覚したら早急にプロの特殊清掃業者と依頼することをおすすめいたします



孤独死の遺品整理や処分を業者に頼むべき理由


孤独死の遺品整理や処分を業者に頼むべき理由


孤独死現場での特殊清掃は専門業者に依頼すべき、と前項でもお話していました。

しかし、実は遺品整理に関しても同様に、専門業者へ作業を依頼するのがおすすめです。


ここでは、その理由についてをご説明していきます。


①強い腐敗臭




特殊清掃を終えてある程度の感染リスクが回避できた状態であれば、ご遺族や相続人の方が遺品整理を行うことができます。

ですが、問題は室内に残っている『腐敗臭』。

体液・血液が付着していた家財(汚染物)の撤去が終わっていたとしても、まだ家財が残っている状態であれば臭いは消えません。

腐敗臭の臭いは思っているよりもすさまじく、中には吐き気やめまいなどの体調不良を訴える方もいらっしゃいます。



家財だけでなく壁や床にも臭いが染みついてしまうので、一般の方がその中で長時間作業を行うことは難しいでしょう。

夏場のように外気温が高い状況の場合、強い悪臭のほか熱中症にも気を付けなければなりません。



そういった面からも、孤独死現場の遺品整理は業者に依頼することをおすすめいたします


②孤独死現場の清掃・消臭は通常とは異なる




孤独死現場でかなり重要なポイントとも言えるのが、『お部屋の原状回復』です。

お部屋を元の環境へと戻すためには消毒・除菌・消臭作業が欠かせないもの。

ですが、体液・血液による汚れや腐敗臭は特殊な機材や薬剤を使用しなければ取れないのです。


「市販の薬剤や消臭スプレーで取れるんじゃないですか?」

とご質問を頂くこともありますが、むやみに使用することはお勧めできません。

その理由としては、市販の薬剤や消臭スプレーは一般の方でも安全に使える範囲のものだからです。


表面上は綺麗になったと思っていても、市販の洗剤には目に見えない細菌を除去するほどの威力が備わっていません。

消臭スプレーを使っても香りで上書きしている状態なので、時間が経つと元の悪臭が蘇ってきます



そしてどちらも使い方を間違えると逆に汚れが目立ったり悪臭が強くなったりと、かえって悪影響を及ぼす可能性があるのです。


悪臭問題は近隣住民との関係悪化にも繋がりますので、孤独死現場の清掃は特殊清掃業者に依頼することをおすすめいたします。


③特殊清掃と遺品整理を同じ業者に依頼した方が安くなる




特殊清掃と遺品整理の作業内容は別々で、それぞれを専門として行っている業者も存在します。

なので各種作業を別々の業者へ依頼することも可能です。

しかし、特殊清掃を業者に依頼する場合は、遺品整理も同じ業者へと依頼するのがおすすめです。


なぜかと言いますと、特殊清掃を行っている流れで一旦作業を中断して、別の業者が遺品整理の作業を行うことになります。

そうすると、別業者が作業に入っている間は手を止めることになりますね。

結果的に全体の作業時間が増大することになるでしょう。

作業を休止している間も作業員の人件費がかかってきますので、その分両方の業者に支払う費用がかかって効率的ではありません。


特殊清掃と遺品整理を同じ業者に依頼すると、そういった費用面での負担が軽減されます。

賃貸物件の場合であれば期間が長引くほど家賃の支払い費用がかかってきますし、時間的にもなるべく早くに作業が終わる方がと思います。



特殊清掃を業者に依頼するなら、遺品整理も一緒に行なってくれる業者を選ぶのがおすすめです。

※原状回復のための解体工事が必要な場合は、許可証を持つ業者へと依頼しましょう。


特殊清掃と遺品整理の作業内容の違いについては、下記の記事をご覧ください。

関連記事:『遺品整理と特殊清掃』それぞれの特徴と作業内容は大きく異なる?!遺品整理と特殊清掃の違いについて解説


④処分まで任せられる




自身で遺品整理を行った場合、整理作業後には不要なものを処分しなければなりません。

しかし、孤独死現場にある家財のほとんどは、悪臭が染みついてしまっている状態です。

その状態の家財を一般のゴミ回収に出すと、いくら袋に入れているからと言って臭いが漏れないとは限らないのです。


体液・血液が直接付着している家財に関しては、適切な処理を行わなければ処分することができず、業者へ依頼する必要があります。

特殊清掃と遺品整理を業者に依頼すると、清掃から整理に加えて不要品なども適切に処分してくれるでしょう。



業者に作業を依頼したときの流れ


業者に作業を依頼したときの流れ


では、孤独死現場の清掃と遺品整理を業者に依頼すると、どのような流れで作業が進んでいくのでしょうか?

業者に作業を依頼すると、下記のような流れで作業が進んでいきます。


1問い合わせと見積り
2汚染物の梱包・撤去(特殊清掃)
3消毒・除菌作業(特殊清掃)
4汚染箇所洗浄(特殊清掃)
5家財の仕分け・梱包(遺品整理)
6家財の撤去・処分(遺品整理)
7汚染箇所の解体作業(特殊清掃)
※必要な場合のみ
8室内洗浄・清掃(特殊清掃)
9消臭作業(特殊清掃)
10お引渡し


※現場の状況により順番が前後する場合もございます。


業者に作業を依頼する際、まずは業者へ問い合わせて見積りの依頼をします。

料金設定や作業内容(主にオプションサービスなど)は各業者によって異なる場合があります。

なので、おすすめとしては2~3社から無料で相見積もりを取り、比較検討してみましょう


特殊清掃・遺品整理の費用は決して安くはありませんから、よく検討してから選ぶことが推奨されます。

とはいえ孤独死の場合は、処置までの時間が空くほど室内の状態が悪くなり、費用が増大する可能性が高まります。

ですので、注目するべきポイントを押さえながら選び、早急に対処してもらいましょう。


見積り時に注目しておくべきポイントは、下記の通りです。


金額が妥当なものかどうか

作業内容に関しての説明がしっかりされているか

追加作業の有無を教えてくれているか

見積書に内訳の詳細が記載されているか

感染に対する正しい知識や高い技術を持っているか

必要な許可証や資格をきちんと持っているか



事前に業者のHPを確認してみたり、気になることは直接質問してみましょう。

また、問い合わせ時・見積もり時の業者の対応力なども注目してみてくださいね。


特殊清掃作業に関する詳しい内容は、下記の記事にてご紹介しております。

良ければこちらも参考になさってください。

関連記事
特殊清掃ってどんなときに必要なの?|特殊清掃作業の内容から費用相場までまとめて紹介!

孤独死現場の原状回復って誰が特殊清掃の費用を支払うの?|特殊清掃(孤独死現場)の原状回復費用の相場も併せて解説

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孤独死後の遺品整理で注意しておくべきこと


孤独死後の遺品整理で注意しておくべきこと


孤独死現場での遺品整理・家財整理で注意すべきポイントは、下記の4つです。


特殊清掃前に室内(現場)に入らない
保護具(手袋・マスク等)を用意しておく
窓を開ける・水を流す等の行為は避ける
残したい遺品は清潔な状態で保管する


では、それぞれのポイントを順番に見ていきましょう。


*特殊清掃前に室内(現場)へ入らない



まず、特殊清掃を行う前には、現場に入ることを避けてください。

孤独死による遺体の腐敗は強い臭いを発するだけでなく、遺体の分解によって生じる体液や血液は感染症のリスクも伴います

また、強い臭気のため慣れていないと気分が悪くなったり、体調を崩してしまう恐れがあります。


室内は体液や血液が大量に残った状態である可能性も、少なくありません。

生前の故人を知る遺族方が目にするには、あまりにもショックな光景です。

焦らず、特殊清掃が終わるまでは室内に入らないようにしましょう


*保護具(手袋・マスク等)を用意しておく



もし自身で孤独死での遺品整理を行う場合は、適切な保護具の着用が必須です。

手袋やマスクを着用することで、直接的な接触から生じる感染のリスクを減らすことができますので、必ず着用しておきましょう。

また、遺品には細菌や他の有害物質が付着している可能性があります。

遺品を取り扱う際は、特に細心の注意を払って作業してくださいね。


*窓を開ける・水を流す等の行為は避ける



孤独死の現場では、臭いが気になるからと窓を開けたり、お風呂やトイレの水を流したりすることは避けてください。

この行為は、腐敗臭を拡散させたり、排水管を塞いだりする原因になり得ます。


腐敗臭による臭いに関しては、やはり近隣の方とのトラブルに繋がる危険が高いのです。

玄関扉や窓を閉め切っていても、外から臭いが分かることもあります。

しかし、開けてしまったことで「窓を開けたから臭いがここまでするんじゃないか」と言われてしまっては、どうすることもできません。

場合によっては損害賠償を求められる場合も。

窓だけでなく、換気扇等もつけないでおくことが望ましいでしょう。



また、お風呂場やトイレで孤独死があった場合にも同様です。

体液がそのままだと気になるからと水を流してしまい、目では見えなかった髪や遺骨によって排水管が詰まってしまったケースもしばしばあります。

マンションのような集合住宅の場合には特に注意が必要ですね。


特殊清掃業者の指示に従って、適切な換気や清掃方法を選ぶようにしましょう。


*残したい遺品は清潔な状態で保管する



遺品整理を行ったあとに残しておきたいものは、なるべく清潔に保つことが大切です。

というのも、遺品には雑菌が多数付着している状態なので、保管するためにはアルコール除菌スプレーやウェットシートなどでふき取っておく必要があります。

可能な限りで遺品を除菌し、清潔な状態で保管することが望ましいですね。


また、残したい遺品が見つかった場合は、業者にこの遺品は残しておいても良いか、確認してみましょう。

但し、状態によっては保管が難しい場合もありますので、時には処分の決断をすることも必要です。



まとめ:孤独死が発生したら早急に業者へと依頼しましょう!


まとめ:孤独死が発生したら早急に業者へと依頼しましょう!


本記事では、孤独死現場に残った家財の処分や、費用の負担者は誰になるのかという点や、特殊清掃の流れについても解説しました。


【内容まとめ】

・孤独死後の遺品整理(家財整理)を行う義務は相続人にある
・孤独死が起こった室内にある家財のほとんどは処分になる
・業者に特殊清掃や遺品整理を依頼するべき理由をご紹介
・業者に作業を依頼した場合の流れについてご紹介
・孤独死現場での遺品整理についての注意点を4つご紹介


孤独死で亡くなる方の数は年々増加してきています。

決して他人事ではなく、みなさんの身近にも起こり得る問題なのです。

本記事の内容が今後の知識となり、みなさんにとってお役に立てれば幸いです。

最後までご覧いただきありがとうございました。


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